10年以上、所有した事業用資産を売却し、一定の事業用資産を購入した場合については、9号買換えの特例を受けることが可能となる。
ただし、2012年の税制改正によって、買い換える資産が土地等の場合については、一定の要件が設けられることになった。
<解説>
事業用の買換えの特例とは、事業用資産を売却した場合に発生した譲渡益に関して、将来に課税を繰延べる特例となっている。
中でも9号買換え、つまり「旧来の16号買換え」は、通称「何でも買換え」と呼ばれ、国内にある10年以上所有している事業用資産を売却し、新たに国内にある事業用資産を購入すれば適用を受けることができるという使い勝手のよい制度だった。
ただし、2012年の税制改正により、買換資産の範囲が以下の通りに改正された。
<税制改正前>
買換資産・・・国内にある土地等、建物、構築物、そして機械及び装置。
譲渡資産・・・国内にある土地等、建物あるいは構築物で個人により取得がされたこれらの資産のうち、その譲渡の日の属する年の1月1日において所有期間が10年を過ぎたもの。
<税制改正後>
買換資産・・・国内にある土地等(事務所、事業所その他の政令で定める施設(以下この号において「特定施設」という。)の敷地の用に供されるもの(当該特定施設に係る事業の遂行上、必要な駐車場の用に供されるものを含む。)又は駐車場の用に供されるもの(建物又は構築物の敷地の用に供されていないことについて政令で定めるやむを得ない事情があるものに限る。)で、その面積が300平方メートル以上のものに限る。)、建物、構築物又は機械及び装置。
譲渡資産・・・国内にある土地等、建物又は構築物で個人により、取得がされたこれらの資産のち、その譲渡の日の属する年の1月1日において所有期間が10年を超えるもの。
税制改正後は、土地等を買換資産とする場合に、以下の2つの要件が設けられている。
(1) 面積要件
面積が300平方メートル以上のものに限られることになる。
(2) 特定施設の敷地であること。
特定施設とは、事務所、工場、作業所、研究所、営業所、店舗、倉庫、住宅その他これらに類する施設(福利厚生施設以外のもの)が該当することになる。
また、駐車場の場合は、その駐車場を管理する事務所などの建物等がない場合以外は、原則買換資産として認められることはない。
ただし、都市計画法などの一定の規定により、建物が建てられないことについてやむを得ない理由がある場合には、認められることもある。
なお、この特例の適用期限は2014年12月31日までとなっている。