2013年09月05日

相続税の申告書の提出先は、どこですか?

相続税の申告書の提出先は、被相続人の死亡時の住所地を所轄する税務署です。納税は金融機関でもできます。原則は現金納付ですが、延納・物納という手段もあります。

1.申告書の提出期限と納付
 相続税の申告は、被相続人の死亡した日の翌日から10ヶ月以内に行うこととされています。申告書の提出先は、財産をもらった人の住所地ではなく、死亡した人の住所地を所轄する税務署です。
 相続税の納税は、申告期限同様、被相続人の死亡した日の翌日から10ヶ月以内に行うこととされています。税務署のほか、銀行・郵便局等の金融機関でも納付することができます。

2.延納
 相続税は、原則として納期限までに現金で納めます。しかし、期限までに税金を完納するのが困難な場合も考えられ、一定の要件の下に5年~20年の間で分割納付する延納制度が設けられています。

(1)延納の要件
・相続税額が10万円を超えること。(この場合、期限内申告のほか、期限後申告や修正申告、さら
に更正又は決定により納付する場合も含みます。)
・担保を提供すること。(ただし、延納税額が50万円未満で、かつ、延納期間が3年以下の場合は
不要です。)
・金銭で納付することを困難とする事由があり、かつその納付を困難とする金額を限度としている
こと。
・年賦延納しようとする相続税の納期限又は納付すべき日までに、所定の事項を記載した延納申請
書に担保提供に関する書類を添えて提出すること。

(2)延納期間
 相続税額の計算の基礎となった財産の価額の合計額のうちに占める不動産等の価額の割合によ
って、次の通り延納できる期間が異なります。
不動産等の割合が75%以上:不動産等に対応する税額は延納期間が20年。動産等に対応する税
額は10年。
50%以上75%未満:不動産等に対応する税額は15年。動産等に対応する税額は10年。
50%未満:5年。ただし、相続財産の中に計画伐採立木等が含まれている場合は、それに係る延納
期間は異なります。

3.物納
 国税は金銭納付が原則ですが、相続税については、延納によっても納付不可能な事由があると認められる場合、相続財産そのものをもって納める物納という特別な制度が存在します。

 (1)物納の要件
・延納によっても金銭で納付することを困難とする事由があり、納付困難とする金額を限度として
いること。
 ・相続等により取得した財産のうちに物納に適する財産があること。
 ・物納に充てることができる財産は、管理処分不適格財産に該当しないこと。
 ・物納劣後財産に該当するときは、他の物納に充てるべき適当な財産がないこと。
 ・物納しようとする相続税の納期限又は納付すべき日までに、所定の事項を記載した物納申請書を
提出すること。
 管理処分不適格財産・・・不動産の場合は、担保権が設定されている不動産・権利の帰属について
争いのある不動産・境界が明らかでない土地等のこと。

 (2)物納できる財産
  物納できる財産は、相続税の計算の基礎に算入された相続財産のうち、次に掲げる財産及び順位
で、国内にあるものと決められています。
第一順位:1 国債、地方債、不動産、船舶
     2 1のうち劣後財産
 第二順位:3 社債、株式、証券投資信託又は貸付信託の受益証券
      4 3のうち劣後財産
第三順位:5 動産

(3)物納の撤回
 収納された財産は国の所有となってしまいますが、物納税額を金銭で一時に納付した場合、物納の許可を受けた後1年以内に限って物納の撤回をすることが可能です。
posted by 相続税 at 09:58| Comment(0) | 日記 | 更新情報をチェックする

父と母の両方から贈与を受ける場合、「相続時精算課税制度」の適用関係は、どうなるのでしょうか?

父と母、それぞれについて「相続時精算課税制度」と「暦年課税制度」を選択することが可能です。必ずしも両親共に同じ制度を選択しなければならないわけではありません。

1.父と母を分けて選択が可能
 相続時精算課税制度は、贈与の年の1月1日において65歳以上の親から20歳以上の子への贈与に適用できます。父と母が共に65歳以上なら、20歳以上の子は、父と母、それぞれについてこの制度を選択することが可能です。例えば、父との間では「相続時精算課税制度」を選択し、母との間では何ら選択しなかったなら、母との関係は「110万円非課税枠の暦年課税」のままでいることになります。当然、逆のケースもあり得ます。すなわち、贈与を受ける子が相続時精算課税制度の選択につき、父と母それぞれについて取り決めればいいということです。

2.父と母の両方から相続時精算課税制度の適用を受けたい場合
 相続時精算課税制度の適用を受けたい場合には、その贈与を受けた年の翌年3月15日までに、贈与を受けた子が、その子の所轄の税務署に、選択の届出書を贈与税の申告と共に提出します。父と母の両方から同一年に贈与を受け、この制度の適用を初めて受けようとする場合は、父と母の2つの選択の届出書を提出する必要があります。

3. 父と母のどちらか一方のみ相続時精算課税制度の適用を受けたい場合
 両親から同一年に贈与を受け、相続時精算課税制度を父のみ選択して、母からの贈与は選択しなかったとします。この場合、翌年の贈与税の申告は、父からの贈与については相続時精算課税制度の申告書(初年度は選択届出書を添付)を提出し、母からの贈与については従来の110万円非課税枠の申告書を提出します。このように、2種類の贈与税の申告書を提出する必要があります。

4.相続時精算課税制度と暦年課税を上手に利用する方法
 相続時精算課税制度には、贈与者の相続財産に取り込まれるというデメリットが存在します。一方、従来の110万円まで非課税の暦年課税は、相続開始前3年以内の贈与を除いて相続財産に取り込まれることはなく、切り離しが可能です。したがって、相続財産を贈与によって減らすという観点からは、暦年課税を利用するのが確実な対策でしょう。
 父との間で相続時精算課税制度を選択すれば、二度と暦年課税を利用することはできません。ただし、母を利用して暦年課税と同じ効果を得ることは可能です。
例えば、父から、課税価額3,000万円の高収益アパートと、父と息子2人が共同して経営する同族会社の株式を3,000万円贈与したいといわれているとします。
父→相続時精算課税制度を選択し、アパートの贈与を受けます。
母→相続時精算課税制度を選択せず、暦年課税。
このようにして、同族会社の株式は、母から父へ従来の暦年課税を利用して贈与し、贈与を受けた母から当該株式を息子へ、同じく暦年課税を利用して贈与します。
 自社株は将来の評価が不確実な財産であることから、相続財産に取り込まれる相続時精算課税制度を選択して贈与するのは、不安が残ります。このような場合には、上記のように母を利用することにより、父からの暦年課税と同じ効果を得られるのです。
posted by 相続税 at 09:57| Comment(0) | 日記 | 更新情報をチェックする

父から相続時精算課税制度の贈与によって土地を取得し、相続後にこの土地を売却しました。この場合、相続財産を譲渡した場合の取得費加算の特例は適用可能でしょうか?

一定の要件に該当すれば、取得費加算の特例の適用を受けられます。

1.取得費の概要
 譲渡所得の金額は、
土地等を売った収入金額-(取得費+譲渡費用)
で計算します。土地の場合には、買い入れ時の購入代金や仲介手数料等の合計額が取得費です。相続によって取得した土地であれば、被相続人が購入したときの購入代金や仲介手数料等の合計額が取得費です。

2.取得費加算の概要
 相続した土地等を一定期間内に売却すれば、相続税額のうち一定金額を取得費に加算できる特例があります。

3.相続時精算課税制度と取得費加算の特例
 相続時精算課税制度の適用を受けた贈与財産は、要件を満たすと取得費加算の特例の対象となります。

4.暦年課税制度と取得費加算の特例
 暦年課税制度による贈与財産は、相続で財産を取得した人が被相続人から受けた相続開始前3年以内の贈与財産に限って、相続税の課税価格に加算されます。
 この加算された財産は、要件を満たすと取得費加算の特例の対象となります。
posted by 相続税 at 09:57| Comment(0) | 日記 | 更新情報をチェックする

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